久井・世羅スタディツアー

団体

地域をまるごと博物館ととらえて,地域の自然・文化遺産の保護や活用を行うエコミュージアム活動。それを広島県中央部の賀茂台地を中心に展開しようと考えています。
活動は広島大学総合博物館を中心に,市民や学生,行政,企業などと適宜連携しつつ,ぼちぼちと行っています。

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2022年6月11日。東広島エコミュージアムのモニターツアーとして,久井岩海とせら夢公園(ヒョウモンモドキ保護施設)への見学会を実施した。あいにくの雨模様であったが貴重なものと興味深いお話を伺うことができた。

久井岩海は国指定の天然記念物で,花崗閃緑岩の風化した様が岩の海のように見られる珍しい景観である。この地の保全活動をされている方に案内いただき,岩海内を一回り歩いた。3月の訪問時(写真)と比べて,7月の草刈り前ということで岩の隙間から草が茂っており,景色がだいぶ違ってみえた。草刈りは年3回(地元のボランティア2回+シルバー人材の業務1回)行われている。環境の維持が大きな課題で,維持活動の担い手の高齢化が深刻である。大学生をはじめ外部から作業に参加する仕組みをつくることができれば多少は意味があるかと感じた。かねてより検討中のボランティア・ツアーの訪問地とする対象地として候補地になりうるのではないか。

せら夢公園では,もはや世界で広島の一部地域(世羅・久井・大和)にしか生息していないヒョウモンモドキの保護活動を行っている。公園内の施設と,園外の生息地(写真は添付せず)を見学した。園内の自然観察園で再現されている自然観察路の里山環境の豊かさに癒やされるとともに,驚かされた。モリアオガエルの卵塊,ハッチョウトンボ,ヒョウモンモドキ,モウセンゴケ,ササユリなどなど。さらに園外の生息地では,ホトトギスの声を頭上に聞きながら,実際に飛んでいるヒョウモンモドキを見ることができた。保護のための活動について話もしていただいた。ヒョウモンモドキの保護に関わるボランティア(ヒョウボラ)の活動,興味深い。

いずれの場所も公共交通ではとても行きにくい場所であり,今回のような企画を考えないと,大学生が現地を訪れる機会はあまりないと思われる。現地と大学生や都市住民をつなぐような仕掛けをどのようにつくるか,さらに検討が必要である。

雨の中の里山環境に、日頃そういうところに住んでいるにも関わらず、ちょっと感動した。勉強的な観点では、定年延長が地域の環境維持に与える影響、耕作放棄地の意外な効用、学生や都市住民を草刈りに動員する仕組み、が今後の課題として確認できた。特に前2者はこれまであまり意識していなかった。3つ目のはそもそもの研究課題にもつながる。

草が茂った岩海(今日6月11日)
3月訪問時の岩海。草がない。
ヒョウモンモドキ飼育施設
ノアザミ。ヒョウモンモドキの食草
キセルアザミ。ヒョウモンモドキが卵を生む。ノアザミは乾いた畦,キセルアザミは湿地に生える。
モリアオガエルの卵塊と,ブッポウソウ保護のための巣箱
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